売上が天気と気分で動く店から脱却する、数値の見方の入口

売上が天気と気分で動く店から脱却する、数値の見方の入口

売上が天気と気分で動く店から脱却する、数値の見方の入口

「今日は雨だったから売上が悪かった」「今日はお客様の入りが良かったから売れた」——飲食店の現場で、いちばんよく聞く台詞の一つです。私たちRockHillは600店舗以上の現場を見てきましたが、繁盛している店ほど、この言い方をしません。なぜなら彼らにとって、数字は「天気の結果」ではなく、「自分たちが付ける(観測する)もの」だからです。今日は、その視点の入口を書きます。

月末になるまで、結果が分からない店の苦しさ

多くの飲食店で、こんな会話が繰り返されています。「今月、なんか調子悪い気がする」「いや、先週は良かったから、月末でならせば大丈夫じゃないか」「とりあえずあと2週間頑張ろう」。

そして月末を迎えてレジを締めると、想定より20万円足りない。「なんで」と思いながら、原因が特定できないまま、また翌月が始まる。これを繰り返している店主は、決して怠けているわけではありません。むしろ毎日、現場で必死に働いています。

問題は、努力が足りないことではなく、「数字を見る順序」が決まっていないことです。月末に結果を見て驚く——これは、車を運転中にスピードメーターを見ずに、目的地に着いてから「何km/hで来たんだろう」と振り返るのと同じ構造です。これでは速度の調整ができません。

蛭田はこの状態を、「天気予報のない航海」と呼んでいます。風や波(天気・客足)に翻弄されるのは仕方ない。でも、メーターさえ見ていれば、進路の微修正はできるはずです。

なぜ「数字を見ない」状態が続いてしまうのか

理由は二つあります。一つは、数字を見るタイミングが「月末」しかないという、構造の問題。もう一つは、数字を見ても「何をどう判断していいか分からない」という、翻訳の問題です。

たとえば、日次の売上を毎日記録している店は多い。でも、それを「比較する基準」を持っていない店が、ほとんどです。「今日10万円だった」だけでは、それが良いのか悪いのか判断できません。同じ曜日の先月との比較、客数と客単価の分解、ピーク時間帯のレシート枚数の傾向——比較の角度を持って初めて、数字は「メッセージ」を発し始めます。

もう一つは、「数字を悪者にしない」という姿勢です。数字を見ることが「責められる時間」になっていると、現場は数字を遠ざけます。本部や店主が「なんで売上落ちたんだ」と詰めるたびに、店長は数字を見るのが嫌になる。これは、数字との関係を悪化させる、よくある悪循環です。

私たちが現場で伝えるのは、「数字は人を責める道具ではなく、現場を助ける装置」だということ。この前提が共有されない限り、いくら数値管理を導入しても、形だけになります。

仮想店主:Eさんは「結果に驚く」、Fさんは「日々観測する」

具体例で見ます。

Eさん(44歳・定食屋・開業7年目)
売上は月末にレジ精算でまとめて確認。「先月は420万円、今月は380万円」のように、月単位でしか把握していない。原因を聞かれると「天気が悪かった」「近くで工事があった」と答える。スタッフとの数字の会話はなく、店長会議でも「来月はがんばろう」で終わる。

Fさん(37歳・ビストロ・開業5年目)
毎朝10分、前日の売上・客数・客単価・原価率を「曜日別の月平均」と並べて見る。週次で「今週の気づき」を3行メモにして、スタッフが見える場所に貼る。月末にはレシート集計を業態別の指標と比較する。Fさんは「数字を見るのは、責めるためじゃなく、何が起きたかを知るため」と話す。

Eさんの月末は「驚きの時間」、Fさんの月末は「確認の時間」。同じ売上規模でも、来年の伸び方はまったく違います。

決定的な差は、「数字を見る頻度」ではなく、「数字を見る目的の持ち方」です。Fさんは数字を、判断のための観測値として扱っている。Eさんは数字を、月末に渡される評価表として受け取っている。前者は能動、後者は受動。この姿勢の差が、半年後・1年後の数字の伸びに、ゆっくりと、しかし確実に効いてきます。

まず置いてみる、5つの観測の入口

明日からExcelを開いて高度な分析を始める必要はありません。私たちRockHillが現場で最初に提案するのは、次の5つの観測項目です。すべて、紙とペンでも始められます。

  1. 日次:売上・客数・客単価の3つだけを記録する
    月末まで放置しない、というのが入口の入口です。

  2. 週次:曜日ごとの客数平均をメモする
    月・火・水…と曜日別にならすと、「動く日」と「動かない日」が見え始めます。

  3. 月次:先月との比較を、必ず「客数」と「客単価」に分解する
    売上が下がったのが、客数が減ったのか、単価が落ちたのかで、打ち手は変わります。

  4. 数字に対して「責めの言葉」を使わない、というルールを決める
    スタッフが数字を遠ざけなくなる、第一歩です。

  5. 数字を見る時間を「予定」に入れる
    毎朝10分、毎週月曜の15時——なんでも構いません。決めておかないと、見ない時間が増えます。

5つのうち3つから始めれば十分です。完璧を目指さず、「やめないこと」を目指してください。

私たちRockHillの考え方:数字は「ちゃんとやった努力」を見える化する装置

私たちは、数字をたくさん見ることを推奨しているのではありません。「努力がちゃんと数字に現れる順序」を作ることを、大事にしています。

数字を見ない店は、努力が見えなくなります。スタッフが気を利かせてドリンクを推した結果も、原価をきっちり管理した結果も、何もかも「天気のせい」で流れてしまう。これは、現場の努力を報われない形にする、最も静かな浪費です。

蛭田が現場でよく言うのは、「数字は、ちゃんと頑張った人の味方になる」という言葉です。数字を見るのは管理のためではなく、「努力を、報われる形に変えるため」。それが、数字との健全な関係だと考えています。

まずは、現場の数字の見方を聞かせてください

もし「うちも月末に驚いているかもしれない」と感じたら、一度コーチと話してみませんか。助言も提案もしません。ただ30分、現場の話を聞かせてください。数字との付き合い方の入口を、一緒に探します。

RockHillへの無料相談

関連記事:月商500万円の壁を越える前にやめるべきこと


RockHillの強くなる飲食店向けツール

現場の課題を整理したいときは、次の導線も活用してください。記事を読んで終わりにせず、自店の現在地を測り、必要な一手に落とし込むための入り口です。


著者: 蛭田一史(株式会社RockHill 代表取締役)|飲食店支援600店舗以上(累計)|設立2009年

飲食店の広報・マーケティング体制強化ならお任せください!

600店舗以上の支援実績で、自社で運用できる仕組みを一緒につくります。

相談・お問い合わせ

この記事を書いた人

ロックヒル

株式会社ロックヒル

株式会社ロックヒルは、飲食企業の集客・広報・マーケティングを「内製化できる仕組み」として構築する支援会社です。SNS運用・MEO・導線設計・スタッフ育成まで、現場と経営をつなぐ伴走型サポートが強みとしてます。代表の蛭田はSHOGUN BURGER CMOなどの経験を持ち、飲食店の成長支援実績が豊富です。