この記事は、毎日のように投稿しているのに、フォロワー数も来店数も伸び悩んでいる飲食店主さんに向けて、私・蛭田から書く手紙です。お会いしたことのない方も多いと思いますが、これまで600以上の店主さんとお話してきた中で、同じ悩みを何度も聞いてきました。結論からお伝えします。SNSが伸びないのは、ネタが足りないからではなく、設計が足りないからです。あなたが悪いんじゃありません。
「毎日投稿しているのに、なぜ伸びないのか」
ある定食屋の店主さんから、こんなメッセージをいただいたことがあります。「3年間、ほぼ毎日投稿してきました。今日のランチ、賄い、仕入れ、季節のもの——できる限り出してきました。なのに、フォロワーは800人で止まっていて、新規来店もほとんど増えていません。何が間違っているんでしょうか」。
その方の投稿を全部拝見しました。料理写真はきれい。文章も丁寧。投稿頻度も高い。なのに伸びない理由は、はっきりしていました。投稿の主語が、毎回ぼやけていたのです。
「本日のランチです」「美味しくできました」「ぜひ食べに来てください」——情報としては正しい。でも、誰が、誰に向かって、何を伝えたいのか、画面の向こうから見えない。それが3年積み重なると、「真面目で美味しそうな、でも他と区別がつかないアカウント」が出来上がります。
これは技術の問題ではなく、設計の問題です。
なぜ「がんばっているのに伸びない」が起きるのか
3つの構造があります。
1つ目は、「投稿頻度=努力量」という思い込み。多く出せば届くはず、という発想です。でも、SNSのアルゴリズムは「頻度」ではなく「反応の質」を見ています。誰の心にも刺さらない投稿を100本出しても、たった1本の「刺さる投稿」に勝てない構造です。
2つ目は、「店主視点」のままの発信。「今日はこれを作りました」は店主の事実。でも、それを受け取るお客さんが「自分にとってどう関係するのか」を翻訳しないと、心が動きません。
3つ目は、ゴールが曖昧。フォロワーを増やしたいのか、来店を増やしたいのか、常連さんとの関係を深めたいのか——目的によって、出すべき内容はまったく違います。全部を一つのアカウントで狙うと、すべてが中途半端になります。
つまり、努力していないのではなく、努力の方向が散らかっているのです。
仮想の店主A・B——同じ業種、同じ実力、違う結果
A店主さん(カフェ・開業5年)は、毎日2投稿。「本日のスイーツ」「店内の様子」「営業時間のお知らせ」——全部、店からの一方通行。フォロワーは1,200人、エンゲージメント率0.8%、SNS経由の新規来店は月3組ほど。
B店主さん(同じくカフェ・開業4年)は、週4投稿。すべての投稿に「想定する読み手」を決めています。月曜は「ひとり時間を大切にしたい人」向け、水曜は「子連れで安心して入れる店を探している人」向け、金曜は「特別な日に静かに過ごしたい人」向け。投稿内容は、その人が「自分のための店だ」と感じる言葉と写真で構成されています。フォロワー2,400人、エンゲージメント率4.2%、SNS経由の新規来店は月22組。
Bさんは、投稿回数を減らしています。でも、結果は7倍です。「誰に向けて話しているか」を決めただけで、これだけ違います。
SNSが伸びる店の設計——6つのチェック
- 投稿の前に、「今日は誰に向けて話すのか」を1人決められているか
- 写真の中に、店の温度(人・手・空間)が映り込んでいるか
- キャプションの冒頭が、「本日は」ではなく読み手の心情から始まっているか
- 月に1度、先月の投稿の反応を10分振り返れているか
- 投稿のゴールが、「伸ばす」ではなく「届く」になっているか
- 「自分の言葉」と「お客さんの言葉」、両方の語彙を使えているか
このリストは、テクニックではありません。SNSを「店からの一方通行」から「お客さんとの対話」に変えるための問いです。
RockHillの考え方——SNSは「手紙」と同じ
私たちRockHillは、SNS発信を「手紙」と同じだと考えています。手紙は、宛名のないまま書きません。「誰に伝えたいか」を決めてから、言葉を選びます。SNSも本来そうあるべきです。
蛭田は、相談に来てくださる店主さんに、「あなたの店に来てほしい人を、一人だけ思い浮かべてください」とお願いします。漠然とした「30〜40代女性」ではなく、「先週、初めて来てくれた、あの本を読んでいた方」のような、具体的な一人です。その人に手紙を書くように投稿してみてください——それだけで、文体も写真の選び方も変わります。
がんばってきたあなたの3年間は、無駄ではありません。設計を整えれば、その積み重ねは一気に効きはじめます。
もし「うちもそうかもしれない」と感じたら、一度コーチと話してみませんか。助言も提案もしません。ただ30分、現場の話を聞かせてください。あなたのSNSを、まず一緒に見させていただきます。
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RockHillの強くなる飲食店向けツール
現場の課題を整理したいときは、次の導線も活用してください。記事を読んで終わりにせず、自店の現在地を測り、必要な一手に落とし込むための入り口です。
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著者: 蛭田一史(株式会社RockHill 代表取締役)|飲食店支援600店舗以上(累計)|設立2009年