シフトに穴があく店と、人が自然に集まる店の決定的な差

シフトに穴があく店と、人が自然に集まる店の決定的な差

土曜の朝、LINEが鳴る。「すみません、今日体調悪くて……」。半年前にもこれをやられた子だ。怒りたい気持ちと、いま怒ったら今後シフトに入ってくれなくなるかもという計算が、頭の中でぶつかる。結局「お大事に」と返して、自分が代わりにホールに立つ。

シフトの穴は、現場の店主や店長の体力を、確実に削っていきます。

私たちRockHillは、こう考えます。シフトに穴があく問題は、シフト管理の中だけでは解けない。原因は、もっと前段にあります。今日は、その構造の話をします。

「ドタキャン」が止まらないという現場

ある居酒屋の店長Nさんは、月に2〜3回、当日欠勤に振り回されていました。シフト管理アプリも入れた。ペナルティ制度も作った。代わりに入ってくれた人にはボーナスを払うようにした。それでも、ドタキャンは減らない。

Nさんは「最近の子はすぐ休む」と嘆いていました。

しかし、お店を訪問して、スタッフ何人かと話すと、別の景色が見えてきました。

  • 「シフトを希望と違って入れられても、断りにくい雰囲気がある」
  • 「忙しい日に休むと、後で店長が無言で機嫌悪くなる」
  • 「ホールも厨房もギリギリの人数で回しているから、自分が休むと迷惑をかけると分かっている。だから前日まで言い出せない」
  • 「結局、当日になって体調を理由にしないと、休めない空気がある」

ドタキャンの正体は、「最後の手段」だったのです。

スタッフはサボりたいわけではなかった。シフトの仕組みと、休めない空気と、店長の機嫌の組み合わせが、ドタキャンを生み出していた。これは、スタッフのモラルの問題ではなく、店の構造の問題です。

なぜ「シフト問題」はシフト以外に原因があるのか

シフトに穴が空く店には、3つの構造的な特徴があります。

1つめ、「余白のないシフト」を組んでいる。人件費を絞るために、ギリギリの人数でシフトを組む。一人欠けたら回らない。だから、誰も休めない。休めないから、限界まで我慢して当日キャンセル。これが連鎖する。

2つめ、「希望が通らない」が常態化している。スタッフが希望を出しても、店長の都合で書き換えられる。「希望を出しても無駄」と思い始めると、適当に出すか、出さなくなる。シフトへのコミットメントが下がる。

3つめ、「休む文化」が許容されていない。「休みます」と言うこと自体に心理的コストがある店では、本当に体調が悪いときも言い出しにくい。結果、当日になって「もう無理」となる。

この3つは、シフト管理ソフトを入れても解決しません。店全体の人材戦略と、店主・店長の態度の問題だからです。

逆に、人が自然に集まる店は、シフト管理がゆるい店ではありません。「休んでいい空気」と「休めない仕組み」を両立させている店です。

仮想のケース:店長Nさんと店長Oさん

同じ業態、同じ規模の居酒屋を比べます。

店長Nさんのシフトは、人件費率28%目標で、ギリギリの人数。希望休は「3つまで」と制限。代休はなし。当日欠勤者には始末書。スタッフ数は10人で、月3〜4回ドタキャンあり。

店長Oさんのシフトは、人件費率30%目標で、ピーク時間帯には常に「+1人の余裕」がある。希望休は無制限(その代わり1ヶ月前までに提出)。代休は別の日に振替可能。スタッフ数は12人で、月のドタキャンはほぼゼロ。

Oさんの店は、Nさんの店より人件費率は2%高い。でも、ドタキャンによる店長の超過勤務や、お客様への謝罪、新人の急募コスト、辞めた人の補充コストを合計すると、Oさんの店のほうが総コストは低い

差は、Oさんが「人件費は固定費ではなく投資」と考えていることです。少しの余白が、ドタキャンを減らし、定着率を上げ、結果として総人件費を下げる。

シフト問題は、シフト表の上では解けません。「働き方の余白を、店主が許容するか」が決めているのです。

あなたの店の「シフト構造」チェック

毎月のシフトを組む前に、以下を眺めてみてください。

  • [ ] ピーク時間帯に、「+1人の余裕」を意図的に作っているか
  • [ ] スタッフが希望休を出すのに、心理的コストはかからないか
  • [ ] 直前のシフト変更を、店長一人ではなくサポート役と相談できるか
  • [ ] 体調不良で休んだスタッフに、復帰時「お大事に」と声をかけているか
  • [ ] 月の希望休と、店側の都合が衝突した場合の優先順位を明文化しているか
  • [ ] 代休制度(別の日に振り替える)が機能しているか
  • [ ] スタッフ数を、必要最低人数+2割で設計しているか

3つ以上「いいえ」なら、それはスタッフのモラルの問題ではありません。シフトの構造そのものが、ドタキャンを生んでいるということです。

私たちRockHillの考え方

私たちRockHillは、「シフトを厳しく管理しましょう」とは言いません。むしろ、シフトに余白を設計しましょうと伝えます。

蛭田は、現場で「ドタキャンに振り回される店」と「シフトが安定している店」を見比べてきました。違いは、店長の管理能力ではない。店主や経営者が、人件費を「削るもの」と見るか「育てるもの」と見るかの差です。

人件費を1〜2%削るために、店長を疲弊させ、スタッフを辞めさせ、新人募集に金を払う——この計算は、長い目で見ると合いません。少しの余白で、現場全体の安定が手に入るなら、それは安い投資です。

シフトに穴があく店は、シフト管理が下手な店ではありません。人を大事にする余裕を、まだ持てていない店です。余裕は、設計でつくれます。


もし「うちのシフト、毎月綱渡りかもしれない」と感じたら、一度コーチと話してみませんか。

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RockHillへの相談

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現場の課題を整理したいときは、次の導線も活用してください。記事を読んで終わりにせず、自店の現在地を測り、必要な一手に落とし込むための入り口です。


著者: 蛭田一史(株式会社RockHill 代表取締役)|飲食店支援600店舗以上(累計)|設立2009年

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この記事を書いた人

ロックヒル

株式会社ロックヒル

株式会社ロックヒルは、飲食企業の集客・広報・マーケティングを「内製化できる仕組み」として構築する支援会社です。SNS運用・MEO・導線設計・スタッフ育成まで、現場と経営をつなぐ伴走型サポートが強みとしてます。代表の蛭田はSHOGUN BURGER CMOなどの経験を持ち、飲食店の成長支援実績が豊富です。