「30万円かけてHPをリニューアルしたのに、ほとんど反応がない」——そういう相談を、私たちRockHillは年に何件もいただきます。きれいなデザイン、スマホ対応、料理写真もたっぷり。なのに、HP経由の予約がほぼゼロ。原因はデザインではなく、「書くべきこと」と「書かないほうがいいこと」の判断基準を持たずに、テンプレ依頼してしまったことにあります。あなたが悪いんじゃない、HP制作の発注時点で順序が崩れているだけです。
「立派なHPなのに、店の顔が見えない」
ある創作和食店の店主さんから、相談を受けました。「制作会社に頼んで、25万円でリニューアルしました。デザインは満足しています。でも、HP経由の予約はリニューアル前後で変わらず、月2件のまま。何が足りないんでしょうか」。
そのHPを開いて、店主さんに聞きました。「このHPに書いてあることで、他店と差別化されている部分はどこですか」と。10秒ほど考えた後、店主さんは「……ないかもしれません」と答えました。
そのHPには、「素材にこだわった料理」「落ち着いた空間」「特別な日に」——飲食店のHPに99%書かれている定型句が並んでいました。デザインは美しい。でも、それが他のどの店のHPでもいい状態だったのです。お客さんは、そのHPを見ても「ここに行く理由」を見つけられない。
なぜ「立派なHP」が反応を生まないのか
3つの構造があります。
1つ目は、制作会社のテンプレ取材。30分のヒアリングで、コピーライターが書きやすい言葉に整える。その過程で、店主さんならではの現場の言葉が消えていきます。「素材にこだわっています」のような、当たり障りのない表現になる。
2つ目は、店主さん自身が、自分の店の特徴を言語化できていない。これは恥ずべきことではなく、ほとんどの店主さんに共通する状態です。毎日現場にいすぎて、外から見たときの「うちの店の独自性」が見えにくくなっている。
3つ目は、SEO意識の過剰。「◯◯駅 イタリアン」のようなキーワードを詰め込むことを優先し、お客さんが読みたい文章が後回しになる。検索エンジンには引っかかっても、人の心には引っかからない。
つまり、HPが反応しないのは、デザインではなく言葉の問題です。
仮想の店主A・B——HPの言葉の違い
A店主さん(フレンチ・開業12年)のHPには、こう書いてあります。「厳選した旬の食材を、シェフが丹精込めて調理いたします。記念日や接待など、特別な日にお越しください」。立派です。でも、これは全国の他のフレンチ店にもそのまま当てはまります。
B店主さん(同じくフレンチ・開業10年)のHPには、こう書いてあります。「私は16歳でフランスに渡り、19年間あちらで料理を学びました。日本に戻ってきて、いちばん驚いたのは魚の鮮度です。フランスでは絶対に味わえなかった真鯛の歯ごたえを、コースの中に必ず一品入れています。コースの最初か最後、その日いちばん良い瞬間に出します」。
どちらのHPを見たお客さんが、予約ボタンを押したいと感じるでしょうか。Bさんは、HPに自分の人生を書いただけ。SEOキーワードも、立派なコピーもありません。でも、人の心は動きます。
HPに「書くべきこと」7項目
- 店主のストーリー:なぜこの仕事を、なぜこの場所で、なぜこの料理を
- 店の哲学:他店と何が違うのか、何を大切にしているのか(店主自身の言葉で)
- 代表メニュー1〜2品の物語:素材の入手経路、調理の理由、こだわりの背景
- 来店動機別の案内:「特別な日」「ひとり時間」「会食」など、シーンごとの提案
- 店内・店主・スタッフの写真:人の顔が見えること
- アクセス情報:駅からの徒歩、目印、駐車場の有無まで具体的に
- 予約方法:電話・ネット・LINEなど、どこから何ができるか
HPに「書かないほうがいいこと」5項目
- 「厳選素材」「こだわりの逸品」などの定型句(中身がない印象を与える)
- 過剰な敬語:「お客様にはご満足いただけますよう……」のような、距離を生む文体
- SEOキーワードの詰め込み:地名・業種を連打する文章は、読み手に不快感を与える
- 「ご来店をお待ちしております」だけのCTA:行動の具体性がない
- 古い情報の残置:3年前のイベント、終了したキャンペーンは放置しない
RockHillの考え方——HPは「店主の顔」
私たちRockHillは、HPを「店主の顔」だと捉えています。立派な顔をつくる必要はありません。今のあなたが、お客さんの目を見て話すように書く。それで足ります。
蛭田は、相談に来てくださる店主さんに、「お客さんに『なぜこの店をやってるんですか』と聞かれたら、何と答えますか」と聞きます。多くの方は、その場で1分くらい話してくれます。その1分の話こそ、HPに載るべき言葉です。プロのコピーライターの言葉より、店主さん自身の1分のほうが、確実に人の心を動かします。
HPをつくり直す前に、まず店主さん自身の言葉を棚卸ししてください。順序はそこからです。
もし「うちもそうかもしれない」と感じたら、一度コーチと話してみませんか。助言も提案もしません。ただ30分、現場の話を聞かせてください。あなたのHPも、一緒に見させていただきます。
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RockHillの強くなる飲食店向けツール
現場の課題を整理したいときは、次の導線も活用してください。記事を読んで終わりにせず、自店の現在地を測り、必要な一手に落とし込むための入り口です。
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著者: 蛭田一史(株式会社RockHill 代表取締役)|飲食店支援600店舗以上(累計)|設立2009年