良い店ほど発信が苦手で損をしている——情報発信は仕事の延長線上にある | ROCKHILL

良い店ほど発信が苦手で損をしている——情報発信は仕事の延長線上にある

良い店ほど発信が苦手で損をしている——情報発信は仕事の延長線上にある

「うちは料理と接客で勝負したい。SNSとか、そういうの、正直得意じゃないんですよ」——そう打ち明けてくださる店主さんに、私たちRockHillは何度もお会いしてきました。腕は確かで、常連さんの愛され方も本物。それでも、駅前の派手な新店に客足を奪われ、「ちゃんとやっているのに、なぜ報われないのか」という小さなあきらめを抱えていく。発信が苦手なのは、あなたが悪いんじゃありません。発信を「マーケティングの仕事」だと位置づけ直しすぎたことが、続かない構造をつくっているだけです。

「料理人なのに、なぜ宣伝までやらなきゃいけないのか」という違和感

ある和食店の店主さんは、こんなふうに話してくださいました。「毎朝市場に行って、仕込みをして、夜は最後の一組までお見送りする。それでクタクタの体で、寝る前にスマホでInstagramを開いて『今日も来てくれてありがとうございました』と書く。なんだか自分が、自分じゃなくなる気がするんです」。

この違和感の正体は、発信を「業務外の追加タスク」として抱え込んでいることにあります。仕込み・営業・締めの後に、もう一つ「マーケティング業務」が乗っかってくる。だから疲れる。だから続かない。だから、本来やりたかった料理や接客の質まで落ちていく気がしてしまう。

真面目な店ほど、この構造に苦しみます。「ちゃんとやろう」と思うからこそ、雑な投稿はしたくない。でも、ちゃんとやろうとすると時間がない。結果、月に1回も投稿できず、アカウントは放置される。そして、放置されたアカウントを見たお客さんは、「この店、まだやってるのかな」と不安になる。

なぜ良い店ほど発信が後回しになるのか

構造的な理由は3つあります。

1つ目は、良い店ほど現場に時間を投下しているということ。料理の研究、食材の吟味、接客の振り返り——本業の質を上げる行為が多すぎて、発信が押し出されます。

2つ目は、「発信=自慢」という抵抗感。腕に自信があるからこそ、自分の口で「美味しいです」と言うことに照れがある。日本の飲食文化に根ざした、ある意味で美しい感覚です。ただ、それが「届ける努力をしない理由」になってしまうのは、もったいない。

3つ目は、発信を「別物の専門スキル」だと思い込んでいること。SNS運用、MEO、HP——どれもカタカナの専門領域に見える。だから「自分にはできない」「外注しないと無理」と感じる。でも、これは誤解です。

仮想の店主A・B——同じ実力、違う結末

A店主さん(蕎麦店・開業12年)は、発信を「営業外の追加業務」と捉えています。月末に思い出して、まとめて5投稿。新メニューが出ても告知は口頭のみ。常連さんは離れないものの、新規が年々減り、客単価も上げづらい。「いい蕎麦を打っているのに、なんで」という気持ちが澱のように溜まっていきます。

B店主さん(同じく蕎麦店・開業10年)は、発信を「接客の延長」と捉え直しました。毎朝、その日に使う蕎麦粉の産地について、スタッフ朝礼で2分話す。その内容を、開店前にスマホで30秒の動画にして、Instagramのストーリーズに上げる。やっていることは朝礼の延長線上。新しい業務は増えていません。

3年後、Bさんの店は「蕎麦粉の話が聞ける店」として知られ、遠方からのお客さんが増えました。蕎麦粉の話は、もともとBさんがスタッフに伝えたかったこと。それを「ついでに外にも見せただけ」です。発信は、別の仕事ではなかった。

続く発信の設計図——7つのチェックリスト

  • 朝礼・仕込み・賄いなど、すでにある業務の中に発信のネタが眠っていないか
  • 毎日やる作業の中で、スマホ1台で30秒記録できる瞬間はどこか
  • 「お客さんに聞かれたら答えること」を、先に外に置いておく意識があるか
  • 投稿の主語は店主自身になっているか(誰が話しているのか分かるか)
  • 完璧な写真より、本物の温度を優先しているか
  • 月に1度、先月の投稿を見返す10分を取れているか
  • 発信のゴールが「フォロワー数」ではなく「来てほしい人に届くこと」になっているか

このチェックリストは、SNS運用テクニックではありません。「発信を、もともとやっている仕事の延長線上に置けているか」を確かめるための問いです。

RockHillの考え方——発信は「翻訳」である

私たちRockHillは、発信のことを「翻訳」だと考えています。店主さんの頭の中、現場でしか分からない手仕事の理由、食材へのこだわり——その現場の言葉を、外の人にも届く形に翻訳する。それが発信です。

だから、何もないところからネタをひねり出す必要はありません。蛭田は、相談に来てくださる店主さんに、まず「最近スタッフに言った言葉」を聞きます。その中に、必ず外にも届く価値があります。発信が苦手なのではなく、自分の中の価値を「翻訳する順序」を知らないだけ、ということがほとんどです。

「やる気が足りない」「センスがない」と自分を責めないでください。設計の問題です。順序を知れば、続きます。


もし「うちもそうかもしれない」と感じたら、一度コーチと話してみませんか。助言も提案もしません。ただ30分、現場の話を聞かせてください。発信の翻訳は、現場の話を聞くところからしか始まりません。

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現場の課題を整理したいときは、次の導線も活用してください。記事を読んで終わりにせず、自店の現在地を測り、必要な一手に落とし込むための入り口です。


著者: 蛭田一史(株式会社RockHill 代表取締役)|飲食店支援600店舗以上(累計)|設立2009年

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この記事を書いた人

ロックヒル

株式会社ロックヒル

株式会社ロックヒルは、飲食企業の集客・広報・マーケティングを「内製化できる仕組み」として構築する支援会社です。SNS運用・MEO・導線設計・スタッフ育成まで、現場と経営をつなぐ伴走型サポートが強みとしてます。代表の蛭田はSHOGUN BURGER CMOなどの経験を持ち、飲食店の成長支援実績が豊富です。