FLRだけで飲食店経営は足りる?今見直すべき数字の見方完全版 | ROCKHILL

FLRだけで飲食店経営は足りる?今見直すべき数字の見方完全版

FLRだけで飲食店経営は足りる?今見直すべき数字の見方完全版

FLRだけで飲食店経営は足りる?今見直すべき数字の見方完全版

「FLRは65%以内に抑えています」——そう言う経営者が、なぜか利益を出せていないケースがある。数字の上では管理できている。なのに、月末に残るお金が少ない。その感覚を抱えながら、「もっとコストを削らなければ」と絞り続けるのは、問題の所在を見誤っている可能性が高い。FLRは必要な指標だ。しかし、それだけで経営の全体像が見えているとは言えない時代になっている。

FLRとは何か——まず前提を揃える

FLRとは、Food Cost(食材費)、Labor Cost(人件費)、Rent(家賃)の三つのコストの合計が、売上に対して何%かを示す指標だ。一般的に60〜65%以内に収めることが目安とされており、この範囲に収まれば利益が出やすい構造になるとされている。

飲食業の経営指標としては最もポピュラーなものの一つで、多くの経営者がこれを軸に毎月の数字を確認している。実際、FLRを把握していない店よりは把握している店の方が、コスト感覚は明らかに鋭い。問題はその先だ。

FLRを守っているのに利益が出ない三つの理由

コストの三本柱を管理できているのに、期待通りの利益が残らない店には、FLRの「外側」で起きていることが共通して存在する。

一つ目は、集客コストがコストとして見えていないことだ。

グルメサイトへの月額掲載料、販促のための広告費、SNS運用のための外注費——これらはFLRのどこにも含まれない。だが実態として、月に数十万円規模になっているケースは珍しくない。売上1,000万円の店が月に30万円の集客コストをかけていれば、それだけで3ポイントの利益を失っている。FLRが65%に収まっていても、実質的な収益構造は変わってしまう。

二つ目は、廃棄ロスがコストとして計上されていないことだ。

仕込み過ぎた食材、売り切れなかったメニューの廃棄、賞味期限切れによるロス——これらは原価率の計算には含まれないことが多い。仕入れた食材が売上として回収されることなく捨てられているにもかかわらず、食材費の管理は「仕入れ額÷売上」で終わっている。廃棄ロスを可視化していない店では、実際の食材コストは計算上の原価率より高くなっている。

三つ目は、「売れるもの」ではなく「作れるもの」でメニュー設計をしていることだ。

これは多くの飲食店に潜む構造的な問題だ。シェフや料理長の得意料理、手に入りやすい食材、作業効率が良いものでメニューを構成する。その結果、原価率は低いが客単価も低い、もしくは高単価のメニューが売れない、という状態になる。FLRの管理はコストを見ているが、どのメニューがどれだけ売れているか、売れているメニューの原価率と利益率の実態、客が何に価値を感じているか——こうした視点がなければ、メニュー設計は売上を最大化する方向には機能しない。

FLRを「管理する」から「改善する」指標へ

FLRが悪いという話ではない。問題は、FLRを「管理する」ことで経営が終わっていることだ。FLRを確認して「問題ない」で終わるのか、それとも「なぜこの数字になっているのか」を分解して改善のアクションにつなげるのか——同じ指標を見ていても、使い方がまったく違う。

物価高・人件費高騰の時代に、FLRの各項目を「どこまで絞れるか」という発想で経営すると限界が来る。食材費を削れば料理のクオリティに影響し、人件費を削れば接客に影響し、家賃を下げようとすれば立地が犠牲になる。コスト削減の余地は構造的に限られている。

一方で、FLRの外側——集客コストの効率、廃棄ロスの削減、メニュー構成の最適化、客単価の設計——には、まだ手をつけていない店が多い。ここを改善すると、FLRを変えずに利益率が改善する。同じコスト構造でも、売れるものを売る設計ができれば数字は変わる。

具体的には、メニューごとの原価と売上構成を可視化することから始めるべきだ。どのメニューが利益に貢献しているか。どのメニューが売れているが利益薄か。どのメニューを推しにすべきか。これを分析せずにメニュー改定を繰り返している店は、感覚で運転しているのと変わらない。

今の時代に更新すべき「当たり前」

FLRを管理する習慣は、正しい。捨てるべきではない。ただ、それが唯一の経営指標であるという「当たり前」は更新が必要だ。

売上がフラットでも、集客コストが下がれば利益は増える。FLRが同じでも、廃棄ロスがゼロに近づけば手元に残る金が増える。メニュー設計を変えれば、同じ客数でも客単価が上がる。「コストを削る」という発想の外に、利益を増やすルートはある。

FLRは経営のスタートラインだ。その先に何を見るか——そこが、成長する飲食店とそうでない店の分岐点になっている。

まとめ

今月、自分の店のFLRを確認したなら、次にやることは一つ——集客コストをFLRの外に足した「実質コスト率」を計算することだ。その数字が65%を超えているなら、問題はFLRではなく、FLRの外側にある。そこから経営の見直しを始めてほしい。


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著者: 蛭田一史(株式会社RockHill 代表取締役)|飲食店支援600店舗以上(累計)|設立2009年

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この記事を書いた人

ロックヒル

株式会社ロックヒル

株式会社ロックヒルは、飲食企業の集客・広報・マーケティングを「内製化できる仕組み」として構築する支援会社です。SNS運用・MEO・導線設計・スタッフ育成まで、現場と経営をつなぐ伴走型サポートが強みとしてます。代表の蛭田はSHOGUN BURGER CMOなどの経験を持ち、飲食店の成長支援実績が豊富です。